コンビニ収納のペーパーレス化――DXで顧客・利用者・自社の三方良しを実現
「払込票」「納付書」などと呼ばれる請求書を使って、商品代金や公共料金を支払う方法は、昔からある決済手段のひとつです。銀行や郵便局に加え、24時間開いているコンビニが支払窓口化したことで利便性が高まり、多くの事業者が料金の請求手段として利用するようになりました。
一方、紙は利用者が紛失してしまうリスクが高く、事業者側には再発行の手間とコストがかかっていました。日々印刷される払込票に使われる紙の量も膨大です。
事業者と環境への負担を、もっと減らせたらいいのに――
便利なサービスとしてすっかり浸透したサービスに風穴を開けるべく、アプラスの決済サービス部はコンビニ収納の改革に着手しました。
今回は、同社の思いに合致するサービスとの出会いによって実現した「コンビニ収納のペーパーレス化」と、新たなチャレンジを後押しする同社の風土について、プロジェクトを主導した3人に話を聞きました。
アプラスには、チャレンジングな提案がしやすく、通りやすい風土がある
――今回の取り組みを主導した決済サービス部について、社内での位置づけと業務内容をお聞かせください。
針ヶ谷:私が本部長を務めるペイメント推進本部の直下にある組織で、取引金融機関のネットワークを通じた口座振替による集金業務代行、多様化する国内外のコード決済をワンストップでカバーする決済サービスなどを提供しています。社内では、ショッピングクレジット推進本部、カード推進本部と並ぶ営業部隊のひとつですね。
――皆さんは、この事業部で長く働かれているのですか?
針ヶ谷:私は、吉祥寺支店での営業から始まって札幌、名古屋、東京などの支店長を歴任し、本部では市場開発部、カード事業部、加盟店営業部などで部長を務めました。昨年は株式会社全国賃貸保証代表取締役社長としていったん外に出て再び戻り、今に至ります。
私に限らず、金融業界は一般的に異動が多いですから、松村さんと朝倉さんもいろいろな経験を積んできたでしょう。
松村:私は、アプラスの営業部門における登竜門のようなショッピングクレジットの営業からキャリアをスタートした後、社内公募制度を利用して現在の決済サービス部に一度所属しました。
その後、新生銀行(当時)のグループ事業戦略部で中国人向けモバイル決済サービスのWeChat Payの導入に携わり、出資先のフィンテックベンチャー企業を経てアプラスに戻っています。
特にフィンテックベンチャー企業ではこれまでの常識が一切通じず、まるで新入社員のようでした。ただ、「とりあえずやってみて、失敗してもまた次がある」というベンチャースピリットを体感できたことは、今回のような新しい取り組みを進める上でも非常に役に立っています。
朝倉:私は立川支店の審査担当から入り、その後、役員秘書をしばらく務めていました。キャリアパスを上司に相談して企業戦略部に異動したのち、人事部を経験して決済サービス部に来たという流れです。
ずっと間接部門にいたので、最初は部内で飛び交う言葉の意味すらわからず、転職した気分でした。でも、ルーティン業務よりも日々新しいことに取り組むのが好きなタイプなので、今の仕事がこれまでで一番自分に合っていると感じています。
誰とでもフラットにコミュニケーションをとってくれる針ヶ谷さんがトップにいるだけに、事業部内の雰囲気が闊達で意見が言いやすく、新しい取り組みがしやすいんですよ。
松村:ふと見たら、新入社員の隣で針ヶ谷さんが仕事をしていたりしますもんね(笑)。
針ヶ谷:目標に関しては厳しく言いますが、基本的にはみんなが楽しく仲良く働ける環境であることが大切だと思っていますからね。私も社内ではあちこち気軽に顔を出して、明るく積極的にコミュニケーションを取るようにしていますよ。
朝倉:私たちの部署の風通しが良いのは、針ヶ谷さんのキャラクターのおかげですね。
定着したコンビニ収納には、改善できる課題があると感じていた
――今回のプロジェクトは、何をきっかけにスタートしたのでしょうか?
松村:紙の払込票をコンビニに持って行って支払いをする「コンビニ収納」が定着して久しいですが、便利な反面、課題も少なくありません。
利用者さまがコンビニで支払いを完了されてから当社サイドでその情報の確認がとれるまでのあいだにタイムラグが生じるため、すでにお支払いを済まされている方に支払いをお願いする連絡をして顧客満足度の低下につながるケースもあります。また、払込票の紛失や汚損による再発行が多かったり、利用者さまと事業者さまの負担が大きかったりと、課題解決の必要を感じていました。
朝倉:そもそも、払込票を印刷するのに膨大な量の紙が使われていることも、大きな環境課題であるという認識も広がっていました。
松村:1人1台スマートフォンを持つ時代になり、いずれ決済もスマホでできる方法に集約されていくはずだとも感じていました。それで、コンビニ収納のペーパーレス化を進言し、SMSで届くバーコードを払込票の代わりに使用するサービス「マイペイメントサービス」の導入プロジェクトが立ち上がったというわけです。アプリをダウンロードする必要もなく、非常に利便性が高いのが特徴です。
――プロジェクトはスムーズに進みましたか?
朝倉:導入後の社内オペレーションが複雑化しないよう、紙の払込票のシステムに乗せやすいことを重視してサービスを絞り込み、ベンダーさんは早々に決まりました。新商品の承認プロセスで少し時間がかかりましたが、関係者の協力もあり、無事にリリースすることができました。
SBIグループでの浸透を図り、さらなる拡販につなげたい
――針ヶ谷さんは、ペーパーレス化についてどうお感じになりましたか?
針ヶ谷:事業者さまのコスト削減、および利用者さまの利便性向上につながる非常に良い取り組みだと思いました。それに、当社の既存サービスであるコード等決済やコンビニ収納のような商品とは少し違って、マイペイメントサービスはこれから普及していくことが想定されるイノベーティブな商品であることにも営業的な観点から魅力を感じましたね。
実際、口座引落としやコンビニ収納ですでにお付き合いがある事業者さまにプラスでご提案すると、非常に反応が良いです。紙と違って、いつも携帯しているスマートフォンで支払えますから、回収率の向上にも期待したいですね。事業者さまからも、「口座から引き落としができなかったときに使いたい」という声をいただいているんですよ。
――なるほど。事業者さま、利用者さま、そして自社の3者にそれぞれメリットがあるわけですね。今後の展開についても、お考えをお聞かせください。
松村:ECなど「物」があるサービスよりも、形がなく「すぐに払う」ことが重視されるサービスの方がマイペイメントサービスとの親和性が高いと考えています。物があるサービスの場合、購入した物と一緒に請求書が届いた方が、安心感があるからです。
そこで、保険料や家賃、資格試験の受験料、インターネット利用料といった、形のない商材を扱う事業者さまを対象にご案内を始めました。2023年9月のローンチから4ヵ月ほどで多くの商談が成立しており、非常に好調です。
針ヶ谷:同時に、SBIグループの各企業への案内も進めています。グループ内での浸透を図り、外でのさらなる認知度向上につなげていきたいですね。
朝倉:サービスを導入していただいた事業者さまからのご意見をベンダーさんにフィードバックし、一緒にサービスのアップグレードを図り、さらなる商品力強化につなげていくことも目指しています。
針ヶ谷:事業者さまにも、利用者さまにも、私たちにもメリットがあり、かつ環境・社会課題に対しても有意義な取り組みです。コンビニ業界にも活力を提供できるかもしれません。
ペーパーレスは身近なサステナビリティであり、生活の中にうまく溶け込むことができるサービスなので、さらにアプローチしていきたいですね。グループ全体の力をお借りしながら、2024年はさらなる拡販に取り組んでいきたいと思います。ご期待ください!
マイペイメントサービスについての詳しいご案内はこちら
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