見出し画像

店舗スタッフが実践する、全てのお客さまのためのサステナブルなサービス

個性や特質にかかわらず、誰もが利用しやすい、ユニバーサルデザインの街づくりが進んでいます。しかし、従来からある施設や仕組みの中には、障がいのある方や高齢の方にとっての不利益や使いにくさが潜んでいることも。

SBI新生銀行では、全社向けのeラーニングで障がいのある方への対応を周知するほか、各店舗(フィナンシャルセンター)の自主的な取り組みを尊重して、既存施設や仕組みのユニバーサルデザイン化を進めています。 

今回は、多彩な施策が光る上野フィナンシャルセンターのスタッフに、実践しているサービスの内容について話を聞きました。

語るひと:
SBI新生銀行 上野フィナンシャルセンター
SFC長代理 渡邉利恵
       柿沼優子
※役職はインタビュー当時

いつ、誰に対しても優しい店舗を目指して

――上野フィナンシャルセンターは、4年程前に御徒町駅に近い現在の場所に移転してきたそうですね。
 
渡邉:移転前は上野駅に近い路面店で、1階と2階の2フロア構成でした。資産運用などのご相談で来店されるお客さまには原則として2階で対応していましたが、車椅子でお越しの方、足の不自由な方が来店された際などには1階で柔軟に対応するなど、当時からサービス利用に障壁を感じやすい方への配慮が厚い店舗だったと思います。

上野フィナンシャルセンターでの勤務が長く、お客さまサービスの変遷を知る渡邉さん

柿沼:私はお客さまが来店された際のご案内を担当していますが、移転後はワンフロアになり、だいぶご案内しやすくなりました。1階ロビーからエレベーターまでは段差がなくフラットですから、車椅子でお越しの方にも安心してご利用いただけているようです。

――どのようなお客さまが多いのでしょうか。

渡邉:上野は下町感が強く残る街です。そのせいか、きっぷのいい職人気質の方が目立ちますね。さまざまなお客さまにご利用いただいておりますが、その中でも古くからある個人商店のお客さまが多いのも特徴です。
長くお取引いただいているお客さまは比較的年齢層が高めですが、新規のお客さまは若い方からご年配の方まで幅広いですね。外国籍のお客さまも多くいらっしゃいます。

──障がいをお持ちのお客さまはどれくらい来店されますか?

柿沼:月に1度、あるかないかです。それでも、いらしたときにお待たせしたり、不快な思いをさせたりすることがないように、平時から準備を怠らないようにしています。障がいがある方を想定して取り入れたサービスではあっても、ご年齢により耳が聞こえづらくなった、目が見えにくくなった、指先に力が入りづらいといった方にご活用いただけるものもありますので。

全てのお客さまへ丁寧な対応をするために準備を徹底していると語る柿沼さん

――確かに、障がいの有無にかかわらず活用できるシーンはありそうですね!

渡邉:そうですね。手の不自由な方、目の不自由な方に向けた代筆・代読サービスなどは、ケガや病気をお持ちのお客さまや、高齢の方のご利用も十分にありえると思います。

代筆は、基本的に同行されるご親族にお願いしていますが、同伴者がいない場合は行員が行います。ご自身からのお申し出をためらわれる方も多いでしょうから、様子を拝見してこちらから適切にお声がけしたいですね。代読も、プライバシーに配慮して個室などで行いますので、安心してご利用いただけると思います。

ご記名・ご捺印の位置がわかりにくい方には、手で触れていただき、署名欄の大きさを確認できるサインガイドもご用意しています。

視覚障がいをお持ちのお客さまが活用するサインガイド。記名、捺印の際に役立ちます


柿沼:
自筆が難しい場合、ペーパーレス化の一環として、当行がいち早く導入したタブレット端末も重宝しています。タブレット端末を通じて、口座開設・振込・住所変更など、お口座に関わる各種手続きをペーパーレスで行っていただけます。

時間がかかっても手書きのほうが良いのか、タブレット端末のタッチ操作で進めたほうが良いのか、ご希望をお客さまに確認し、ご負担の少ない方法を選んでいただいています。

耳が聞こえない方には、筆談や手話サービスで対応

――耳が聞こえない方、聞こえにくい方に対してはどんなサポートがありますか?

柿沼:初めに、用件を「手続」「変更」「喪失」「資産運用相談」の4つに区分けしたシートをお見せして、手続きなら口座開設、振込、引き出しなど、利用したいサービスに指を差していただきます。シートの右上に「筆談希望」のマークがありますので、ご希望があれば筆談アプリやお絵描きボードなどを使ってより詳しく聞き取りをしたり、必要に応じて「遠隔手話通訳サービス」につなげたりしたりしています。

お客さまのご要望を把握するためのシート。指差しでスムーズにやりとりすることができます


渡邉:
遠隔手話通訳サービスは、タブレット端末のテレビ電話機能を利用して、手話通訳コールセンターのオペレーターがお客さまとコミュニケーションをとるサービスです。

実は先日、資産運用相談をご希望のお客さまから「耳が聞こえないので、手話サービスで対応してほしい」とご連絡をいただきました。
そこで、念のため使い方を確認しておこうとサービスにアクセスしてみたのですが、なんとログインができなくて。アプリのアップデートをして事なきを得たものの、定期的なチェックが必要だと感じた出来事でした。

別のお客さまからも「近々、手話サービスを利用してカードローンの相談をしたい」とご連絡をいただきましたので、準備を整えてお待ちしているところです。

柿沼:資産運用や投資のご相談以外は予約なしで来られるお客さまがほとんどですから、常に万全の状態にしておく必要がありますよね。

リアルタイムで手話通訳するサービスの利用も可能。お客さまのご要望に合わせて活用しています

個性に応じて「どうすれば喜んでもらえるか」を考える

――サービスとして導入されているもの以外に、どんな方にも安心感を持っていただける接客のために心掛けていること、実践していることはありますか?

柿沼:歩行が不安定な方、下肢に障がいがある方、ご気分が悪くなった方などにすぐおすすめできるよう、整備された状態の車椅子を店内に常備しています。

部屋の一角に車いすを配置。いつでも万全に使えるよう、準備万端です

渡邉:車椅子を使っているお客さまに対しては、見下ろされていると感じさせないように、自身も姿勢を低くして目線を合わせることを意識しています。障がいもひとつの個性ですから、個性に合わせて「どうすれば喜んでいただけるか」を考えることが大切なのではないでしょうか。

銀行全体でも障がいをお持ちの方への接遇に関するeラーニング研修を実施しており、知識の更新や支店の取り組みの見直しに役立っています。

柿沼:あとは、小さなお子さまを連れてお越しになるお客さまのご負担軽減でしょうか。色鉛筆、クレヨン、画用紙などを用意してタイミングを見て手渡すとか、積極的にお子さまに話しかけるなど、些細なことですが。「子どもを預けられないけど、SBI新生銀行なら連れて行っても安心」と思っていただけたらうれしいです。

幼いお客さまへも優しい配慮を

――気づいたことを提案しやすく、また積極的に取り入れることのできる風土なのですね。

渡邉:どのような個性を持ったお客さまにも気持ち良く過ごしていただけるように、良いアイディアはどんどん実践していくSBI新生銀行ならではの風土がありますね。

雨の日にご来店いただく際にお配りする傘袋を、お帰りの際に取って差し上げたり、急な雨に備えて使い捨ての傘を常備しておいたりするのも、スタッフの発案でした。

柿沼さんは、もう何年も季節ごとのアイテムを受付に飾ってお客さまの目を楽しませてくれているんですよ。

お客さま対応について活発に意見を交わすという、上野フィナンシャルセンターのメンバー

――誰も取り残さない、さまざまな取り組みをされていることがわかりました。最後に、今後の課題を教えてください。

柿沼:銀行全体に関わるシステム的な面では、聴覚が不自由な方のために、暗証番号変更など現状では音声通話でしか対応していないサービスを改善したいですね。また、今、上野フィナンシャルセンターが入っているのは既存のテナントビルのため難しいのですが、障がいのある方や赤ちゃんのおむつ替えをしたい方も利用しやすい「誰でもトイレ」が同じフロアにあると良いと思います。

渡邉:また、お客さまに心地よくSBI新生銀行をご利用いただくという点で、少し別の視点にはなりますが、LBGTQ+当事者の方など、銀行のシステムに登録されている性別や本人確認書類上の性別に基づいて応対することを望まれないお客さまに対して、どのようにお声がけをするかも課題と感じます。お手洗いの場所を聞かれた際にどちらにご案内すべきかといったことも、一つひとつ解決していかなくてはなりません。
自ら「私の戸籍上の性別は男性なの」または「戸籍上の性別は女性なんです」と話してくださったLGBTQ+当事者の方もいらっしゃいました。ただ、ご自分から説明してくださる方ばかりではないでしょうから、引き続き最善の方法を考えていきたいです。

【編集後記】
「上野フィナンシャルセンターのお客さまは下町気質でちゃきちゃきしてらっしゃるので、スタッフもてきぱきとした対応を心掛けているんですよ」と笑って話してくださった渡邉さんと柿沼さん。全てのお客さまに合わせた優しい気配りとサービスがSBI新生銀行らしさとなり、銀行全体に広がってサステナブルな社風となっているのでは、と感じられました。

執筆/藤巻史 撮影/橋本千尋

こちらは、SBI新生銀行グループのSBI新生銀行に関する記事です。

この記事が参加している募集