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「共生」の明日につながるファンド 待っている障がい者のためにできること【Vol.1】

障がいを持つ人もそうでない人も、分け隔てられることなく共生できる社会を目指し、さまざまな取り組みが活発になっています。新生銀行グループの昭和リースが取り組んだのは、日中サービス支援型の障がい者グループホームの開発・運営を目的とするファンドの組成です。共生社会を目指すための一歩はどのように踏み出されたのでしょうか。立ち上げに関わったメンバーが語ります。

語るひと:
昭和リース
スペシャリティファイナンスビジネス部門ヘルスケアビジネス部
シニアマネージャー 稲垣哲也
パートナービジネス部門事業開発部
次長補       國井洋平

障がい者は人口の7.6%、964万人――数字を見た驚きが、共生を目指すファンドにつながる

――このファンドは「共生」がテーマになっているそうですね。社会と障がい者を巡る報道でよく目にする言葉です。 

國井:北京パラリンピックに関する報道でも、この「共生」というキーワードがよく用いられていましたね。私たち昭和リースは、障がい者向けグループホームの開発・運営のためのファンドを組成しました。このファンドは「障がい者と健常者の共生」を掲げて企画したものです。

ファンド組成にあたり調べていて驚いたのですが、障がい者は日本に964.7万人いまして、人口の約7.6%が障がいを持つ人たちなのです。障がい者の実状を知るほどに、「このグループホームは必要な事業だ。私たちにもできることはないだろうか」と感じたことからスタートしたのです。

ファンド組成やファイナンスを通じ、社会的に意義のあることを支援していくのが金融機関の役割ではないか思っています。障がい者を取り巻いている課題を可視化し、パートナーや事業者などさまざまな関係者と協働しながら、社会が一体になって課題を解決していくことが重要です。その先に、「一緒に生きていく」共生のあり方が見えてくるのではないでしょうか。だからこそ、今回の取り組みで終わってしまってはなりません。実際、これを契機に新生銀行では日中サービス支援型障がい者向けグループホームの運営事業者に対して、「新生ソーシャルローン」として資金提供を行いました。

障がい者数の状況

重度の障がい者も安心して暮らせる住まいに高まるニーズ

――ファンドの対象になる「障がい者向けグループホーム」の実態について教えてください。

稲垣:障がいや心身の状態などによって、それぞれに必要な支援の度合いを示す「障害支援区分」には、1(軽)~6(重)までの区分があります。この中で、グループホームに最も多く入居されているのは区分3の方たちです。区分3は、ある程度自立して生活ができている方たちで、それより重度な方は家庭にいらっしゃるか、施設に入居されています。重度の障がい者の方ほど、社会と共生する場が圧倒的に少ないというのが実情です。

障がい者向けのグループホームは「外部サービス利用型」「介護サービス包括型」「日中サービス支援型」の3種類に分類されています。前者2つは軽度の方に向けたもので、合計1万施設ほど。2006年から制度化されたことを背景に、ある程度の年数をかけて整備が進んできました。

しかし、重度の障がい者に向けた「日中サービス支援型」はまだ440施設程度にとどまっています。軽度の障がい者向けのグループホームと重度の障がい者向けのグループホームは合計で約1万440施設になりますが、障がい者全体の964万人という分母を考えると、施設数がまったく足りていないことがわかります。重度の障がい者に向けた「日中サービス支援型」は2018年4月から制度化されており、徐々に整備が進んでいくと考えられますが、そのスピードをさらに加速していかなければと考えています。

グループホームの種類ごとの利用者数推移

國井:実は、障がい者のうち重度者が何人くらいいらっしゃるのか、統計データからではわかりません。ただ、毎年実施されている「障害支援区分」の審査状況から見ると、軽度・重度の比率はほぼ変わりません。入居できるグループホームが一定数ある軽度者に対し、対象施設の少ない重度者は日中サービス支援型施設を待っているのではないか。これが私たちの立てた仮説です。重度の方はこれまで家族による介助が主でした。しかし、共働きが当たり前になり家庭における介助の担い手が少なくなっていることや、核家族の増加による住宅事情の変化、介助する家族の高齢化など、昨今の社会情勢を見ると家庭だけで対応するのはなかなか厳しくなっていくでしょう。そういう時代の中で、重度の障がいのある方でも安心して暮らせる住まいが求められています。

このファンド組成プロジェクトが走り出すと同時に、私たちがファンドを組成する意義はより明確になってきました。ファンドの規模によって、グループホームをさらに増やすことにつながるからです。ファンド組成というゴールに向け、私は業界の知見を深めるべく、稲垣さんをはじめとするヘルスケアビジネス部に協力を仰いだのです。


【Vol.2】では、障がい者向けグループホームの開発・運営のためのファンドを組成の前に立ちはだかった壁をどう乗り越えたのか、そのストーリーをお届けします。お楽しみに!

「共生」の明日につながるファンド 待っている障がい者のためにできること【Vol.2】の記事はこちら📌

こちらの記事は、新生銀行グループの昭和リースに関する記事です。

昭和リースの「障がい者向けグループホーム」についてのプレスリリースはこちら(昭和リースのサイトへ遷移します。)

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