UDCとニュージーランドにおけるサステナビリティ
ニュージーランド最大のノンバンクであるUDC Finance社(以下UDC)も、SBI新生銀行グループの仲間です。
昨年末に役員が初来日した際、UDCのチーフ オペレーティング オフィサーと、SBI新生銀行グループ海外事業統括部長が、サステナビリティについて語り合いました。
藤木:ようこそ日本へ。今日は忙しい東京出張の合間にサステナビリティについて語る時間を割いていただきありがとうございます。最初に簡単な自己紹介をお願いできますか。
ドン:日本に来るのは今回が初めてですが、SBI新生銀行グループのみなさまにお会いできて嬉しいです。UDCでは、チーフ オペレーティング オフィサー(COO)として、マーケティング、プロダクト、戦略、およびオペレーションを統轄しています。
藤木:日本もニュージーランドもサステナビリティへの意識は高まっています。ドンにとってサステナビリティとは何でしょうか。
ドン:端的に言えば、将来の世代にとって「良いこと」を行い、「悪いこと」は行わない、ということだと思います。サステナビリティはさまざまな角度からの取り組みがありますが、私は「環境」が、経済・社会・政治にも深く影響を与え、生活を支える最も肝心なものだと考えています。
ニュージーランドにおける脱炭素
藤木:UDCは自動車ローンや設備機器関連ローンを提供するニュージーランド最大のノンバンクです。ガソリン車ではなく電気自動車を選択することや、政府補助金の政策効果について、日々のビジネスから感じることをお聞かせいただけますか。
ドン: 電気自動車は、ニュージーランドでは非常に好意的に見られるようになってきています。以前は技術に対して懐疑的でしたが、最近は利用者にとっての経済合理性や実用性に関する議論へと移ってきています。高性能・長距離走行を可能にする魅力的なテスラのニュージーランドマーケットへの参入が大きかったと思います。
政府からの補助金は2つの役割を果たしました。1つは、多くの人にとって電気自動車の所有が経済合理性を持つようになったことです。2020年までにやや高価格帯の車と同程度の価格で購入できるようになりました。もう1つは、この制度の導入をきっかけに自動車メーカー側がニュージーランドに優先的に電気自動車の在庫を供給したことです。
とはいえガソリン車/ディーゼル車も、引き続き私たちのビジネスにとって重要です。当社の最大の取り扱い車種はUTE(ユーティリティー・ビークル、さまざまな業務用の自動車)であり、その分野ではまだ実用性のある代替製品が出てきていません。
藤木:ニュージーランドは天然資源の宝庫ですね。地熱エネルギー、太陽エネルギーなどの取り組みについて日本で参考になりそうなものはありますか。
ドン:ニュージーランドの国土面積は日本の70%ほどですが人口は500万人しかおらず、天然資源に大変恵まれています。電力の81%は再生可能エネルギーで賄われており、新築の建物のほとんどは再生可能エネルギー利用となっています。
クリーンエネルギーによる発電(二酸化炭素を排出しない発電)のおかげで、二酸化炭素排出削減の主たる手段として、輸送や機械のエネルギーの電動化が注目されています。
女性の活躍、多様性の尊重
藤木:私がUDCに赴任していた時に印象に残ったのは女性の活躍でした。アーダーン首相(対談当時)を初めとする女性リーダーが各所で活躍し、UDC管理職層の38%以上が女性であるなど、ニュージーランドは日本のかなり先を行っていると実感しました。
加えて、多文化で多様な人材の職場においても、良好なコミュニケーション、効率的な仕事のやり方、ワーク・ライフ・バランスが実現していたことも印象に残っています。
ドン:首相だけでなく、司法長官や国務長官も女性です(対談当時)。世界で初めて女性の参政権を認めた国であり、国会議員の女性が男性よりも多く、大学卒業生の59%が女性であることからも、国家として基礎ができていることは間違いありません。
私たちはUDCを実力主義の組織であると考えていて、採用面接には必ず女性の面談者を置くなど、偏りを防ぐための社内方針があります。UDCの前CEOは女性で、女性活躍の上での障壁はありません。
文化的に、ニュージーランドは非常に多様性のある国で、人口の約20%を移民一世が占めています。実際、近代国家は移住の波によって築かれてきました。ですから、新しい人や文化を歓迎することは、まさに私たちがずっとしてきたことなのです。母国語が世界的に話される英語であるという幸運にも恵まれています。UDCは組織構造がフラットで、ヒエラルキーもなく、オフィス設計はオープンです。これらすべてがいい意味でかみ合っていると思います。
サステナビリティ×UDC×SBI新生銀行グループ
藤木:UDCでは、社員やビジネスにおけるサステナビリティへの意識向上のためにどのようなことをしていますか。また、UDCの社員、特に営業の方は、サステナビリティやクリーンテックのための国内のさまざまな取り組みをどのように支援しているのでしょうか。
ドン:まず、自社の温室効果ガス排出量を把握し、低燃費車への段階的な切り替えなどの改善を進めていくことです。これまでコロナの混乱があったため、ここ数年は思うような結果を出せませんでしたが、これを進めていきます。
私たちが起こせる最大の変化は、お客さまが排出量の少ない車両に切り替える、トランジションのお手伝いです。私たちには、「ニュージーランドにおけるファイナンス会社として、クリーンテックでNo.1を目指す」という野望があります。
更に私たちのストーリーを投資家に伝えていく必要もあります。
藤木:サステナビリティ経営の推進における、UDCとSBI新生銀行グループとの協働の機会をどのように見込んでいますか。
ドン:SBI新生銀行グループの目指す方向性や専門性について、日々理解を深めています。自社排出量の把握については、SBI新生銀行グループはUDCより数年進んでいると感じています。
加えて、SBI新生銀行の太陽光発電ファイナンスや、昭和リースの資産管理など、商品やプラットフォームに関する専門性にも関心があります。
逆に、SBI新生銀行グループに対して、私たちがよく理解している顧客や商品、ビジネスモデル、そして文化、働き方など、何か役に立つことがあればいいと切に願っています。
最後に
藤木:ありがとうございます。そう言っていただけて光栄です。最後の質問ですが、個人としてサステナビリティのためにどのような行動をとっていますか。
ドン:大したことはできていないのですが。(地元オークランドの水準でいえば)良いエリアの土地を持っているので、自分たちで堆肥を作って野菜や果物を育てています。ガソリン駆動のチェーンソーを電気駆動に変えるなど、生活の電化も進めています。次に車を買い替える時には、電気自動車になっているのではないかと・・・
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