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ダイバーシティ&インクルージョンの第一歩。女性活躍に力を入れるのはなぜ?

世界経済フォーラムが発表した「The Global Gender Gap Report 2021」によると、日本のジェンダーギャップ(男女格差)は何と120位で、先進国で最下位。経済分野では女性管理職比率の低さ(14.7%)も指摘されています。大きな課題となっている「女性の活躍」について、新生銀行グループは「とにかく走り出そう!」というモットーのもと、継続して取り組んできました。チャレンジの最前線から、3名の声をお届けします。

語るひと:
新生銀行 グループ人事部ダイバーシティ推進室
室長    西村陽子
業務推進役 寺田壮一
室長代理  廣石咲希

女性をはじめ
誰しもが自分らしく活躍できる環境へ

――新生銀行グループは以前から女性活躍を推進してきていました。これまではどのような取り組みを続けてきたのでしょうか?

西村:これまでの取り組みを振り返りますと、まずは「女性の活躍」にフォーカスし、そこから広くダイバーシティの領域をカバーするようになったという流れがあります。2018年にダイバーシティ推進室、グループ女性活躍推進委員会が設置され、まずスタートしたのが女性人材育成プログラムです。続いて、グループ5社で女性活躍推進法に基づく行動計画を策定し、女性管理職比率の目標を設定したり、部下をもつ管理職全員にダイバーシティ推進目標を導入したり、2020年度まではダイバーシティ推進の第一歩として女性活躍推進、なかでも「女性リーダーの育成」に力を入れてきました。

2021年度からは、より多くの多様性に目をむけ、さらに多くの人を巻き込んで「ダイバーシティ&インクルージョン」を実現していくために、より幅広い世代・立場の女性社員を対象とした取り組みや、「LGBTQ」、「介護と仕事の両立」、「女性の健康」といったテーマで、ウェビナーやイーラーニングを企画・実施しています。ダイバーシティ推進室では、グループの社員一人ひとりに「多様性を知る・理解」してもらうこと、そして、一人ひとりの「自分ごと」として興味・関心に届くように、取り組みを考え続けています。

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廣石:私がダイバーシティ推進室に参画する前は、目の前のお客さまと数字に向き合うことで精一杯でした。取り組みについて知ってはいたものの、ダイバーシティ&インクルージョンの大切さや意味を実感していたわけではなかったように思います。いまの若い世代には、当時の私のようにどこか他人事のようには感じて欲しくない。だからこそ、ウェビナーでどういうテーマで企画を設定するか、そしていかにして社員一人ひとりにメッセージを届けていくかということをいつも大切にしています。

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――西村さんがダイバーシティ推進室長になったのは2021年のことですが、それまでの取り組みはどのように活かされているのですか?

西村:新生銀行では2006年頃に女性推進に力を入れて取り組んだことがあり、この時期に女性の管理職が急激に増えました。新しいポジションで、しっかりと力を発揮され活躍された方がいらっしゃった一方で、急に与えられたチャレンジングな役割に対して十分なサポートがなく、存分に活躍できなかったケースもあったと聞いています。

現在、女性管理職比率の目標値を定めてはいますが、女性管理職の数をただ増やすだけではなく、一人ひとりのキャリアへの考え方を尊重し、活躍を支える環境づくり、そしてチャレンジングなアサインメントに際してのサポートが重要だと考えています。組織に多様な人材がいるだけではなく、新生銀行グループは多様性のその先、「いかに活躍してもらうか」「いかに多様性を強みとしていくか」まで踏み込んで考えてきました。さまざまな特性を持つ多様な人材が、その力を発揮でき、活かし合える環境には新しい価値が生まれる期待があります。この視点がなければダイバーシティ推進の利点は出てこないと思います。ただ多様性を考えるだけではなく、創発し合い、新しい価値が生まれる環境づくりに力を入れています。

現在の新生銀行の執行役員には、新卒から当行でキャリアを築いてこられた方や、一旦会社を離れ、再入社された方、専業主婦からキャリアを築き直した方など、さまざまな背景を持つ方がいます。また、女性活躍を考えるとき、「女性」という一つのカテゴリーに括りがちですが、「女性」は一つに括れないほどバラエティに富んでいて、まさに多様性のかたまりだと考えています。同じ女性であっても、どういう生き方をするのかの選択肢が多いですし、個人に着目しても、ライフステージによってプライベートもキャリアも大きな変化が生じます。ですので、女性活躍推進の取り組みも一律的には対応できないと思います。

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推進も多様なメンバーで

――女性活躍推進の根っこにある思い、ねらいがわかりました。そのように取り組みを続けているダイバーシティ推進室はどのようなメンバーが力を発揮しているのですか?

西村:私自身は、2019年に製薬会社から転職して入行しました。現在、人事戦略チームのメンバーの全員が、ダイバーシティ推進室を兼務しています。あらゆる人事施策のベースにはダイバーシティ&インクルージョンの考え方が必要とされるからです。

廣石:新生銀行に新卒で入社してリテールの資産運用コンサルティングに携わり、その後人事部に異動しました。学生時代から女性活躍、LGBTQに興味を持ち、講義で学んだり活動に参加したりしてきました。さまざまな人が自分に合ったものを選ぶことができ、それぞれの人生の理想を自由に実現できる――そんな会社が理想です。

寺田:グループの昭和リースで20年以上、営業に携わってきました。昭和リースでは女性管理職がグループ内でもまだまだ少ないのが現状です。グループ人事部に出向を望んだのは、こうした課題に取り組むことで視野を広げ、成長できるのではないかと考えたからです。

西村:チームのメンバーも多様であることが大切です。バックグラウンドがまったく違うメンバーだといろいろな視点が入って、お互いに気づくことが多く、結果として良いチームワークにつながります。

寺田:西村さんが「気づき」と言ったように、ダイバーシティ推進室の取り組みを通して、グループ内の男性社員にも広く「気づき」を持ってもらえればと考えています。新生銀行グループ全体では、男女ともに育児関連休暇の取得率100%を目標とし、男性社員の育児を支援する「はぐくみ休暇」を導入しています。男性が積極的に育児に関わる時間が増えることで、性別役割の分担意識が解消される一助になるのではないでしょうか。取得率といった数字だけではなく、これまでの意識が変わることが大切です。男性が育児を自分ごととして考えられるよう、取り組みを進めていきたいと思います。

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――女性リーダーの活躍に向けて取り組みを続けるダイバーシティ推進室。みなさん自身の「リーダー観」はいかがですか?

寺田:男性だから、女性だからといった観点ではなく、対話と共感を重んじながらコミュニケーションの機会を大切にする。それが現代のリーダー像だと思います。上司であっても部下に考えを押し付けるのではなく、1on1ミーティングのような対話の時間を取ることが、仕事のパフォーマンスや成果につながるのではないでしょうか。その点で言うと、西村さんは自然なコミュニケーションでモチベーションを高めてくれるリーダーだと思います。

廣石:私もマネージャーに昇格し、リーダー像に思いを巡らせる機会も増えてきました。自分を客観的に見ると、牽引力のあるリーダーには向いていないような気もします。けれど、寺田さんが指摘したように現代のリーダー像は様々です。自分自身の弱さや欠点も含めてメンバーと共有しつつ、活躍をサポートできるリーダーを目指せればと思います。

西村:二人のメッセージに共感します。多様性が増し続ける組織では、司令塔としてトップダウン型の旧来型のリーダーだけではなく、多様なメンバーを支え、異なる特性をもつメンバーのコラボレーションを促しながら、目指す方向に組織を進められるリーダーが求められると思います。
私自身は、今年度から初めてチームをもつことになりました。リーダーとしては十分ではありませんが、チームメンバーのみなさんが、一人ひとり強みを発揮できるような環境、チームをつくり、共に成長していきたいです。

誰にとっても未知なこと
チャレンジできる環境から走り出そう

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――今後のさらなる取り組みが楽しみです。ただ、金融機関には「石橋を叩いて渡る」、というイメージもありますが、ダイバーシティを推進するスピード感についてはどう考えていますか?

西村:計画は精緻にしっかりと組み立てていきますが、立案した計画を「実行する」ことにも同じように重きを置いています。また、走りながら、見つかった不具合をタイムリーに修正できる組織ですし、それが許容される文化があります。
ダイバーシティ&インクルージョンの実現は、正解のない課題への取り組みです。すべてがうまくはいかないことも前提に、「まずやってみよう」という気概で取り組まなければ、と思っています。前例がない取り組みを行うことが多いので、受け入れてもらえるのか、うまくいくのか――そんな怖さもありますが、踏み出し、走り出しています。

廣石:まずは取り組んでみる。私自身、そんな風土に魅力を感じて新生銀行への入行を志した学生時代を思い出します。これまで働いてきた部署でも、選択肢がどちらか選びかねるときは、古いものを継続するより「新しいことに取り組もう!」という声があがりました。失敗したら、次に活かしていこう。私たちの基盤には、そんなマインドがあります。

――経団連の事例集「キャリアステージにおける女性のエンパワーメントに向けたベストプラクティス 2021」に紹介されるなど、近年は外部機関からも高い評価を受けています。今後の取り組みについて聞かせてください。

寺田:女性管理職比率の向上は当グループだけでなく、日本が共通して抱えている社会的な課題です。西村さんのようにキャリアアップを目指して転職する女性の採用プロセスについても、施策を工夫していければと思います。

社外との取り組みでは、2021年に「イクボス企業同盟」に加盟しました。イクボスとは「部下のキャリアやワークライフバランスを応援し、組織として成果を出しつつ、自ら仕事と私生活を楽しむ上司」です。それに伴い、イクボス研修という取り組みも始まっています。グループ社員がよりダイバーシティについて考える機会を得られるよう、今後も社内・社外で活発に取り組んでいきたいですね。

廣石:多様性が認められ、寛容であって、選択肢もたくさんある――そんな組織をつくっていくことが目標です。ダイバーシティ推進室においても、ウェビナーなどの企画だけではなく、社員に向けたナレッジの積み上げへのアプローチも必要だと考えています。グループに属する社員一人ひとりが、自分にはどのような選択肢があるのか、どの選択が最適なのかを判断するためには知識が欠かせないと考えているからです。

西村:考え方やメンバーが単一的な組織のほうが統率は取りやすく、価値観も近しいので心地よく仕事ができるかもしれません。一方で、どんな変化にも対応しながら価値創造を続けられる持続可能な組織は、人材の多様性を持ち、多様な価値観や特性が受容され、活かされている組織ではないかと考えています。
大きな変化として、新生銀行グループは、SBIグループの一員となり、より多様性を増した組織となりました。一人ひとりが新しい環境の下、互いを活かしあいながら、シナジーを生み、お客さま・社会に新しい価値を提供していくことが期待されています。

答えがない課題に挑むときや、そして大きな変化のなかでも、多様な視点を有し、その視点を活かしあうことのできる組織は強固です。一人ひとりの個性と持っている力が存分に発揮され、誰もが尊重される組織へ。そして、存分に仕事ができることで、さらに一人ひとりが自己成長し、常に発展し続ける組織へ。一歩ずつではありますが、取り組みを続けていきたいと思います。

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こちらは、新生銀行グループに関する記事です。

新生銀行グループの女性活躍推進について、もっと詳しく知りたい方はこちら!👇(新生銀行グループのサイトへ遷移します。)

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