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企業それぞれの課題に寄り添い、思いをつなぐ。金融機関ならではの承継・再編サポート

中小企業の大量廃業がリアルな問題としてクローズアップされる中、新生銀行グループは事業承継・再編の支援体制を整え、中小・中堅企業のニーズに多角的に応えてきました。「明るい廃業®」「新しい事業承継支援」を掲げて、それぞれの企業が抱える悩みに寄り添い、柔軟なサポートを提供するために――。前回に続き、転廃業・事業承継の支援を手がける担当者の想いに迫ります。

「中小企業の大廃業時代を前に考える。転廃業・事業承継支援の新たな姿」の記事はこちら📌

語るひと:            
新生銀行 事業承継金融部 
部長      舛井正俊        
新生事業承継       
代表取締役社長 塚越公志

「望まざる事業継続」の現実を前に
金融機関ならではの支援とは

――中小企業の経営者も高齢化が進み、経営環境も厳しさを増しています。新生銀行の事業承継金融部、新生事業承継で承継と再編の支援に携わるお二人は、どのような問題意識を持ち、どのような支援を考えているでしょうか。

塚越:デジタル技術の発展により情報伝達のスピードが格段に上がったことで、経営判断にもスピードが求められる時代となってきました。規模の大小を問わず、経営が順調な企業のオーナーは即時に判断を下し、その結果として収益を増大し、顧客や社会、そして従業員へもメリットを還元できているように感じます。事業を継続するにせよ、撤退するにせよ、早く動き出すことができれば、のちの軌道修正も容易なものになるでしょう。じっと待って耐え忍んでさえいれば、いつか状況が好転するという問題であるならよいですが、そうでないのなら、オーナーは自身の経営の出口のあり方について、できるだけ早く具体的に考え始める必要があるのではないでしょうか

舛井:一方で、「事業が承継できなければダメな会社だと思われてしまうのではないか」という懸念が、オーナーに廃業を選択させづらくしていることはないでしょうか。赤字続きであっても、責任感やプライドから辞めるに辞められない。こうなると、企業の資産価値は毀損されてしまいますし、負債が膨らんで債務超過へ転落すると、オーナーの個人保証に問題が及ぶこともあり得ます。経営がさらに悪化して存続が難しくなり、倒産という事態になれば、従業員や取引先への影響も甚大です。

そこで私たちが提唱するのが「明るい廃業®」というコンセプトです。廃業しないで済むのであれば、それに越したことはありません。ただ、いかなる努力をしても継続が難しい場合は、廃業を選択して肩の荷を下ろしていただきたい。これは、私たちからの「オーナーは必要以上に頑張らなくてもいい」というメッセージです。これまで日本経済を支えてきた功労者のみなさんに、胸をはって退場していただければと考え、構築した仕組みの一つが、「廃業支援型バイアウト®」なのです。

※「明るい廃業®」「廃業支援型バイアウト®」は新生銀行の登録商標です。

「明るい廃業®」のコンセプトについて語る舛井さん

「明るい廃業®」でネガティブな印象を一新
持続的な事業のあり方を模索していく

――「明るい廃業®」とは、ネガティブなイメージがつきまとった「廃業」を一新するキーワードです。「廃業支援型バイアウト®」とは何でしょうか。

舛井:通常のM&Aが困難な赤字会社を買収し、オーナーに代わって円滑な廃業を実現するものです。共同投資家と一緒にファンドという仕組みで株式を買い取り、残せる事業があれば第三者に引き継ぎますが、そうでなければ廃業を進めます。オーナーは株式を売却することで一切の負担から解放されるとともに、株式価値を実現して資金を得ることができます。

塚越:私たち新生銀行グループの強みは、事業承継・事業再編、そして舛井さんが説明した廃業支援のようなスキームをきめ細かく、スピーディーに構築できるという点にあります。承継の課題をただ解決するだけではなく、投資業務を通して培ってきたノウハウを活用し、中長期的な価値の向上を目指します。

過去の例では、オーナーが事業を拡大する過程で多くの子会社を設立したものの、その多くが業績貢献を果たしておらず、その管理運営コストが課題となっていた事案がありました。他にも、会社としてのルールが規程化されておらず、オーナー引退後の組織運営に支障が予想される事案もありました。私たち新生事業承継では、オーナー経営から脱オーナー経営へ向かうための体制変更・環境整備を株主として自ら実行していきます。創業オーナーが経営者として解決することが難しいと感じていた問題に焦点が当てられることで、クリアできなかった経営課題が解決し、収益が向上することは多々あります。これも金融機関の私たちがコミットするから達成できることなのです。

舛井:資金が必要とされる局面で、適切なリスク判断をして資金提供を行うこと。それが金融機関としての支援です。一方で、事業承継を進めるにあたっては様々な問題解決が必要になります。そこで、私たちは、弁護士、税理士、不動産処分などに精通した専門家と一緒に、企業とオーナーにとって望ましい解決策を提供します。こうした事業承継のあらゆる問題を解決すべく、100を超える法人と連携して「事業承継百貨店®」というサービスも始めました。何でも一通りの品物が揃う百貨店になぞらえたものです。先に述べた専門家だけでなく、株を売却した後のお金の使い方や、引退後の時間の活用までアドバイスできる企業にも参加していただいています。引退してもこのような明るい生き方がある、と提案することでオーナーの早期決断にもつながるものと考えています。

オーナーの支援から地方創生まで見すえ
サステナブルな社会を展望していく

――企業オーナーに寄り添い、一緒になって考えて仕組みづくりをしていく。お二人のモチベーションはどこからくるのでしょうか。

塚越:私は支援にあたって、お客さまの今目の前にあるお悩みの解決だけに留まることなく、プラスアルファの結果をもたらすことが重要な視点だと感じています。ビジネスではありますが、相手からどれだけ勝ち獲るか、分捕り合戦の経済ではお互いに心から充たされることはありません。たとえて言うなら、目の前に1本の羊羹があったとして、いかに自分の取り分を多くするか、という自己中心的な考え方に陥ってはいけません。羊羹をもう1本増やすことができたら、それぞれがより多く味わうことができるはず。そのためにはどうするか、といったプラスアルファの発想を持つことが重要だということです。お客さまに満足していただくのはもちろんのこと、支援する側である自分の心が充たされるためにも、そのようなマインドで臨むべきです。その結果として、事業承継や転廃業に対する支援も社会的かつサステナブルに根付いていくのではないでしょうか。

サステナビリティという観点では、地方創生で金融機関ができることも模索しています。ネットバンキング、クラウドファンディングなどで、地理的な距離も関係なく資金が調達できる時代です。一方で、事業は金だけあれば回るというものではありません。企業にとって欠かせないのはヒト・カネ・モノと言われますが、企業で働く人々が安心して暮らせるコミュニティを守り育てていくことも、事業継続において欠かせない視点といえるでしょう。地方の中小企業の多くは、人口減少による影響を業績と人材確保の両面で受けており、都心の企業に比べると廃業の切迫度はより高まっています。働き口が減ることで、地元を離れざるを得なくなる人が増えれば、結果としてコミュニティは衰退し、住環境も荒廃していくことでしょう。

事業承継の問題は一企業のみに留まるものではありません。ゆくゆくは、地域全体の人々の暮らしに影響を及ぼすかもしれないのです。私たちは対象となる企業の特性や強みを見出し、社内外のネットワークを駆使して事業の継続や発展に必要なリソース(人材・技術等)を幅広く見つけ出します。都心部と地方という組み合わせに留まらず、地方と地方を結びつけるという発想もあり得るでしょう。新生事業承継は地域の金融機関、地銀とも連携しながら新しいビジネス、地方創生を考えていきます。

舛井:私は、廃業支援の取り組みを「会社のホスピスである」と表現することもあります。これは、長年頑張ってきた企業をきちんと看取るお手伝いをするという思いを込めたものです。ある廃業支援型バイアウト®の事例ですが、自主廃業するつもりだったオーナーは株を売却したことにより、広大な所有不動産の売却をする手間と時間から解放されました。まさに「明るい廃業®」によってオーナーが幸せなリタイアを実現し、新たな未来を拓いたケースです。この事例をはじめ、オーナーは支援を受けてほっとされることが多く、「新生銀行の皆さんに会えてなかったら、笑っていられる今の私はなかった」と言ってくださった方もいます。こうしてオーナーに喜んでいただけることが、私たちの喜びでもあり、達成感にもつながるのです。

塚越:事業承継、転廃業の成功事例が出てくると、日本の企業、そして経営者の選択肢は格段に広がるのではないか――私は、そう考えています。日本経済は活気がないといわれますよね? けれど、そのような言説を受けてただ沈滞しているようではいけません。事業承継や事業再編、そして未来に向けた希望を感じながら、ワクワクをオーナーと共有し、今後も様々な支援に取り組んで参ります。

日本の中小企業が目指す姿について、熱い想いを語ってくれた塚越さん

【編集後記】
スキームを緻密に構築しながら、税制や法令の最新事情にも目配りして企業オーナーを支えていく。ロジカルな説明に耳を傾けていると、「私の心が喜ぶことは!?」「会社のホスピスでありたい」と、情熱がほとばしる一瞬も。冷静と情熱――バランスを取りながら、サステナブルな経営、サステナブルな社会の実現に向けて、事業承継の支援に携わる二人のメッセージが響きました。
         
取材・文/佐々木正孝 撮影/辰根東醐

こちらは、新生銀行グループの新生銀行・新生事業承継に関する記事です。

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