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お客さまの信用と未来を支える金融リテラシー教育~若年層に伝える持続可能な生活のために重要なこと~

SBI新生銀行グループでは、「顧客中心主義」を掲げ、個人のお客さまの金融サービスへのアクセス向上や金融リテラシーの普及促進に努めています。特に若年層に対する正しい金融リテラシーの普及は、無理な借入れやクレジットカード利用による生活の破綻を防ぎ、ひいてはお客さまの安定した生活を支援するという企業の社会的責任を果たす上では欠かせないものです。

個人に対してローン事業を展開する新生フィナンシャルでは、社会経験が浅い若年層をターゲットとした金融トラブルが増加していることを受け、貸金業が企業の枠を超えてスクラムを組む「金融リテラシー向上コンソーシアム」に参画しました。この「金融リテラシー向上コンソーシアム」では、中学校や高校、専門学校、大学などから依頼を受けて講師を派遣し、若年層に向けた金融教育を実施。新生フィナンシャルは自社で認定講師を育成し、依頼元である学校へ派遣、人生において必要な金融商品を適切に選択してもらうための金融教育をスタートしています。

今回は、実際に講師として登壇した4名に、講義の内容や手ごたえ、今後の展望などについて話を聞きました。

語るひと:
新生フィナンシャル
前原可怜 東京レイク推進部
村田淑恵 東京レイク推進部
高木智聖 大阪レイク推進部
佐藤利博  システム開発部
※部署・役職はインタビュー当時


将来を見越した持続的な生活設計を立てるために、金融リテラシーは必須

――まずは、金融リテラシー向上コンソーシアム(以下FLIC)の概要と設立背景について教えてください。

村田:FLICは、日本貸金業協会と、新生フィナンシャルのほか、SMBCコンシューマーファイナンス株式会社、アコム株式会社、アイフル株式会社 の大手貸金業者4社が手を組み、2023年6月に設立した団体です。現代の金融犯罪は巧妙化・複雑化しており、各社での対応には限界があります。FLICでは、各企業が培ってきたノウハウやリソースを集約し、戦略的・効果的な金融リテラシー教育の提供を目指しています。

コールセンターでお客さまからのご相談に応じてきた経験を金融教育に活かすチャンス、と話す村田さん

高木:金融に詳しくない方が、SNSなどで知り合ったよく知らない相手の甘言にだまされ、多重債務に陥る事例は少なくありません。 金融との最初の接点が違法な業者による悪質な融資だったり、詐欺だったりすると、本来なら生活設計に役立てていただけるはずの金融商品のイメージが悪化してしまいます。

そこで、金融トラブルから消費者を守り、将来にわたって金融商品を有効に活用してもらうために、新生フィナンシャルでも金融リテラシー教育の講師を派遣することになりました。

私は既存のお客さまに対応するコールセンターに勤務しているので、詐欺などのトラブルに巻き込まれた若いお客さまの対応をすることがあります。金融リテラシーが浸透していればこんなことにならなかったのに…と感じることが多々ありましたから、金融教育の普及に少しでも貢献できればと思って社内で認定講師の公募があった際に、手を挙げました。

認定講師になるには、FLICが設定している10項目と、当社内で設けている複数の条件をクリアする必要があり、現在私たちを含めて6名の講師が活動しています。

金融教育の普及に貢献したいと自ら認定講師の募集に応募した、と話す高木さん

佐藤:私も、親に頼まれて借入れを重ねている方や、明らかに詐欺に遭っている方と、以前の部署でお話しした経験があり、若いうちから金融リテラシーを高めておくことの重要性を感じていました。お客さま対応の経験がある方々は同様の問題意識を持っているのではないでしょうか。

認定講師に立候補したのは、被害に遭う人を減らし、健全に経済生活を営むための一助になれたらと考えたからです。

金融被害に遭う人を少しでも減らしたい、と話す佐藤さん

前原:私も、お客さま対応に関わる方のサポート業務を通じて金融リテラシーに課題を感じていました。上司からの推薦を受け、仕事の幅を広げる機会にもなると考えてチャレンジしています。

前原さんは表情や声のトーン、間の取り方を考えることで学生の皆さんに興味を持ってもらう工夫をしているそう

村田:私は上司のすすめで認定講師になりました。ただ、金融業に携わる事業者の社会的責任として、当社も金融教育に取り組むべきだと以前から感じていました。

2024年の夏か らチームリーダーになって現場を離れたので、学んだことをメンバーに共有して日々のお客さま対応に還元できればと思っています。

今年度から講師としての活動を開始。対象者に合わせて、資料や構成をカスタマイズ

――実際の活動についてお伺いします。講義の依頼を受けた後は、どのように準備を進めていくのですか?

前原:基本的には、学校からコンソーシアム宛に講義の依頼があり、コンソーシアムから当社へ講師派遣の打診があります。社内では順番に講師が決まり、それから受講対象者に合わせてテーマを決めていきます。テーマは学校側からの要望に合わせつつ、「お金って何?」「お金と上手に付き合う方法」といった高校生向けのものから、「ローン・クレジットの仕組み」「金融トラブル」など大学生や専門学生向けなど、さまざま取り揃えています。実際の講義に向けて流れをアレンジし、コンソーシアムが作成した資料コンテンツやオリジナルの資料を使いながら、全体の構成を考えます。

依頼を受けてから本番までの期間にもよりますが、社内で練習会を1〜2回ほど行い、事務局の方やほかの講師の皆さんからのアドバイスを活かしてブラッシュアップしていく感じですね。

――前原さんが先陣を切って講義をされたんですね。手ごたえはいかがでしたか?

前原:大学の商学部の授業の一環で講義をしたのですが、午後のちょうど眠くなる時間帯だったので、動画資料を最初に流すなど構成を工夫しました。そのおかげか、学生にも興味を持って聞いていただけたようです。練習をしていたおかげで、大きな緊張もせずに終わることができました。

――2番手の村田さんは、中学校で講義をされたと伺いました。

村田:コンソーシアムで用意している資料は高校生以上をイメージして作られているので、中学生向けにオリジナルの資料を加えました。また、新学習指導要領で義務化した中学校の金融教育の内容を踏まえてほしいとのご要望があったため、事務局の方と相談しながら内容に反映しています。

少し焦ったのは、派遣先の学校の先生がご厚意でとってくださった事前のアンケートが、講義前日に届いたときですね。いかにもやんちゃな中学生らしい、本題とは無関係の質問が並んでいて、一気に不安になりました(笑)。でも、先生たちの積極的な参加のおかげもあって、当日はしっかり耳を傾けてくれたんです。生徒 たちからも「これまで知らなかったことを知ることができた」といった感想ももらえて、達成感がありました。

――若年層の場合、先生方の協力が、講義の盛り上がりを助ける重要なカギになりそうですね。

佐藤:学生のタイプにもよりますね。私は専門学校で講義させていただいましたが、いざ直接会ってみると、人数が少なく、おとなしい学生たちだったので、対話したり挙手してもらったりといった技が使えませんでした。一方的な講義にならないよう苦心しましたが、現場で急遽構成を組み替えて、学生たち同士で調べて考える時間の割合を増やしました。

――臨機応変な対応ですね!高木さんはいかがでしたか。

高木:私も専門学校での講義でしたが、前半はローンやクレジットの基礎知識、後半は金融トラブルの具体例についてお話をしました。学生の皆さんはアルバイトで得たお金を使い始める年頃だったので、熱心に耳を傾けていただけました。後半は、インターネット上のフリマサイトでトラブルにあった学生がいると先生方からリクエストをいただいたので、同様の詐欺事例などを盛り込んで構成しました。身近な事例だったせいか、自分ごととして捉えてくれた学生が多かったようです。

金融リテラシーをもとに正しく判断し、必要なときに自分にあった金融商品を活用してもらいたい

――講義を通じて、金融リテラシーが高い子どもたちが増えていくといいですね。最後に、今後の予定と展望をお聞かせください。

村田:すでに新しいご依頼をいただいているので、まずはその講義の成功に向けて動いていくことになると思います。今後は、先行する他社に教育の質で追いつけるよう、オリジナルの資料やプログラムも少しずつ増やしていきたいですね。

コンソーシアムの資料を基本としつつ、自分ならどう伝えたいかを考える機会にもなった、と話す村田さんと前原さん

高木:金融や経済の知識を持つ人が増えれば、お金と健全な関係を作ることができる人が増え、その人の人生を豊かにするための資産形成はもちろん、 持続的な社会を実現することにもつながるでしょう。積極的にご依頼をお受けして、広く金融教育を実施していきたいと思います。

前原:金融教育を普及させるには、個社それぞれの活動では限界があります。FLICにおける貸金業者4社のように、業界内外の関係者に協力の輪を広げていくことが大切です。FLICでは4社間の情報交換も活発化しているので、引き続き協力しながら迅速な普及を目指していきたいですね。


若年層のリテラシー向上はお客さまが不本意な形で経済破綻してしまうことを防止するために重要なこと、と話す佐藤さんと高木さん

佐藤:お客さまと貸金業が良好な関係を築くには、借りようとしているお金は本当に必要なお金なのか、自分にどれくらいの返済能力があるのかを客観的に判断できる力が欠かせません。若年層の金融リテラシー向上は、貸金業にとって多重債務を防止し、安定した生活を支援することによって、継続的な関係を構築していくことにつながると考えます。 将来的なビジネスチャンスを拡大させることにもなると考えます。

マーケットから詐欺や不正を排除していくことは、お客さまが不本意な形で経済破綻してしまうことを少なくするため、消費者であるお客さまにとっても融資元である新生フィナンシャルのような貸金業者にとっても大きな利益になり、また、貸金市場を持続的に発展可能にする重要な取り組みの一つです。

高木:貸金業が今後サステナブルな業界を目指す意味でも、より良い金融教育をできるだけ早く、多くの方に提供できるとよいですね。

【編集後記】
新生フィナンシャルとしては初めて若年層向けの金融教育に乗り出した今回の取り組み。選抜された認定講師のメンバーは、模索しながらも楽しみつつ活動していることが伝わってきました。1回の講義は少人数向けで小さなメッセージかもしれませんが、この取り組みが徐々に広がり、お客さまと健全で持続的な関係を築いていく礎になることが期待されます。

取材・文:藤巻史 撮影:橋本千尋

こちらは、SBI新生銀行グループの新生フィナンシャルに関する記事です

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