NISAカフェで横浜フィナンシャルセンターがサステナビリティを実現
「人生100年時代」と言われる中で、資産形成において「貯蓄から投資へ」という考え方が若年層にも広がりを見せています。
こうした中、大きな課題とされているのが金融リテラシーの向上です。国民の安心・安全な資産形成に必要な情報を提供する金融教育は、金融機関が果たすべき社会的責任のひとつであり、安心して暮らせるサステナブルな社会の実現につながる取り組みです。
SBI新生銀行 横浜フィナンシャルセンターが実施している「NISAカフェ」は、お茶やお菓子を楽しめるカフェのような雰囲気で、NISAの仕組みや活用法についてお客さまとマンツーマンで話す企画。NISAに関するお客さまからのご相談を通じて金融リテラシーの向上に貢献するだけでなく、政府が掲げる資産運用立国の実現につながる取り組みとして注目を集めています。NISAカフェの企画を主導した3人に話を聞きました。
キーワードは「金融教育の継続」と「お客さまのニーズ」
──NISAカフェは、横浜フィナンシャルセンターにおけるサステナビリティへの取り組みのひとつだそうですね。全体的な方向性は、どのように決められたのですか?
和田:SBI新生銀行グループは、中期経営計画における基本戦略のひとつとして「事業を通じたサステナビリティの実現」を掲げ、あらゆる企業活動を行っています。しかし、横浜フィナンシャルセンターのような一支店で働く一人ひとりに目を転じると、サステナビリティに対する意識はまだまだと感じていました。
そこで今期は、「事業を通じたサステナビリティ」を実感できる施策を横浜フィナンシャルセンターで展開したいと考え、守屋さんと甲斐さんに施策の企画と推進をお願いしたのです。2人はお客さまと窓口で直接お話しするCS(カスタマーサービス)チームに所属し、昨年実施した「キッズ・マネー・スクール」の取り組みも牽引してくれましたから、今回も迷わずお任せしました。
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――キッズ・マネー・スクールは、どのような取り組みだったのでしょう。
守屋:キッズ・マネー・スクールは、親子でお金の大切さを学べる体験型プログラムとして開催しました。お子さまには「おみせやさんごっこ」を通じてお金の仕組みや大切さを、保護者の皆さま向けには「おこづかい教育」として講演を実施しました。
甲斐:横浜フィナンシャルセンターで募集をかけ、当日は近隣の親子9組にご参加いただきました。実施後には「子どもに対する金融教育の必要性を実感した」「私たち(保護者)も、小さい頃にこういう学びの場が欲しかった」といったポジティブな感想をたくさんいただいて、うれしかったですね。
──若年層への金融教育の必要性が高まる中、世の中のニーズにマッチした企画だったのですね。施策のアイディアはどのように生まれるのですか?
守屋:お客さまとの対話の中での気づきや、寄せられたご意見がヒントになることが多いですね。普段からお客さまにいただいた声を業務改善に活かしたり、店舗づくりに反映したりしているせいか、サステナビリティへの取り組みを検討する際も「自分たちがやりたいこと」ではなく、「お客さまが喜ぶこと」を糸口にするのが私たちにとって自然な流れでした。
──では、今回のNISAカフェの企画も、お客さまの声から生まれたのですね。
甲斐:キッズ・マネー・スクールに手応えがあり、ご参加いただいたお客さまからも「継続して学ぶことが重要だと思った」といった感想もいただいていたため、今期も金融教育の流れをくんだ企画にしたいと考えました。
これから金融教育をやるとしたらどのようなことができるか、誰を対象にすべきかについてCSチームのメンバーとブレストをしたところ、日頃の接客で得た知識に紐付けたアイディアが次々と寄せられました。「金融教育に携わる小・中学校の先生方の役に立つようなセミナーはどうか」「YouTubeやメタバースを活用して、中高生にアプローチしてはどうか」など、広い視野からの意見も出てかなり盛り上がりましたね。
守屋:その中で、お客さまからは「新NISAのことを知りたい」「NISAをやってみたいけど、何から手をつけていいかわからない」といった質問や問い合わせが多いことがわかったんです。ちょうど新NISAが始まるタイミングでしたから、教材としては最適だと考えました。
ただ、大勢が集まるセミナー形式では、周りの目が気になって、質問するのを躊躇する方がいるかもしれないという懸念がありました。新NISAにまつわる疑問や不安を担当者に気軽に打ち明け、理解度を深めてもらえる場所にしたかったので、お茶とお菓子を楽しみながらお客さまと担当者がマンツーマン形式で30分お話しするという「NISAカフェ」のコンセプトが決まりました。事前にご予約いただき、1日2組までのお客さまと対話しながら、NISAについて知識を深めていただくことが狙いです。
お菓子ひとつにもこだわり抜き、全員でブレストを繰り返した
――企画を推進するにあたり、悩んだことや不安だったことはありましたか?
和田:横浜フィナンシャルセンターは横浜駅に隣接した高層ビルにあるため、窓からの眺望が魅力のひとつです。NISAカフェでお客さまに召し上がっていただくお菓子も、「窓から眺める横浜を感じられるものにしたい」というのがみんなの希望でした。ところが、なかなかお菓子が決まらなくて…。
守屋:横浜はお菓子のおいしいお店が多いのですが、NISAカフェに出すならおいしくて食べやすいことはもちろん、横浜で作って販売しているお菓子であること、在庫が切れたときに買いに行きやすいこと…。予算との兼ね合いもあり、こうした条件を満たすお菓子が意外となくて、かなり悩みました。
甲斐:横浜市内のあちこちから調達してきては、みんなでさまざまな角度から検討しましたよね。和田さんに却下されたお菓子も数知れず(笑)。
守屋:試食もたくさんしました。でも、お菓子ひとつとっても妥協せずにみんなでブレストしながら選び抜くことができて、楽しかったです。
甲斐:最終的に、見た目もかわいらしくておいしく、お客さまにとってはその場でお召し上がりやすく、持ち帰りもしやすい個別包装の横浜銘菓に決まったときはホッとしました。
NISAカフェがスタートすることは、お客さま宛のメールでご案内することになっていましたが、興味を持ってくださるお客さまが本当にいるのか、わざわざ足を運んでくださるのか不安でした。ところが、実際にメールをお送りすると、すぐに反響があり、たくさんのお客さまからご予約をいただきました。あらためて、NISAへの関心の高さを感じましたね。
最初にNISAカフェをご利用されたお客さまは、19歳の息子さんとお母さまでした。来店してくださった日のことは忘れられません。
守屋:帰り際にお母さまが、「子どもと一緒にこうした時間が持てて有意義でした。これからは子どもとお金の話ができるようになると思うとうれしいです。」と言ってくださって、とても励みになりましたね。
お客さまの未来への貢献を実感することができたNISAカフェ
――企画を経て、NISAカフェを担当するスタッフには何か変化がありましたか?
甲斐:NISAカフェを通じてお客さまから感謝の言葉を直にいただくことで、スタッフもNISAカフェの意義を再認識し、やりがいを感じることができています。それにより、スタッフ同士のコミュニケーションも活発になり、より良いサービスを提供できるようになるという好循環が生まれました。
和田:みんな自信がついて、顔つきが変わりましたよね。NISAカフェを通じてお客さまの悩みや疑問を解消してさしあげられること。また、投資への第一歩のお手伝いができていることで、お客さまの将来がより豊かになることに携わっている実感が持てるようになったのではないでしょうか。
まさに、私たちの取り組みがサステナビリティにつながっていることを実感しています。
――すでに、直近の予約はいっぱいと聞きました。今後もお客さまのニーズに応える取り組みに期待しています。
甲斐:長く続いた低金利や、円安で物価が高くなっている中で何か始めたいという方たちが、新NISAが始まったタイミングで「話を聞いてみたい」と思ってくださったのだと思います。まだまだそういった方がたくさんいらっしゃると思うので、そのニーズに応えていきたいですね。
守屋:そうですね。引き続き全員で研鑽を続け、生活の中で低金利を実感されているお客さまの不安や悩みを解決するお手伝いをしていきます。
和田:ほかの地域のフィナンシャルセンターもNISAカフェに注目してくれているようで、各店舗の担当者からも多くの問い合わせがありました。実際、NISAカフェに共感を覚え、福岡フィナンシャルセンターでも同様の取り組みを始めたと聞いています。
こうしたさまざまな取り組みを通して、全国のフィナンシャルセンターでお客さまと接するスタッフ一人ひとりが、事業とサステナビリティの結び付きを感じてくれるといいですね。これからもお客さまの声に耳を傾け、お客さまが求めることやお客さまに喜んでいただけることをベースに、みんなで取り組みを検討していきたいです。
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