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SBI新生銀行が考える時代と共に変わる「環境不動産」とは?

コロナ禍の社会環境の変化でオンラインショッピングの利用が増加しました。それに伴い物流施設への需要が急速に増加したように、不動産のトレンドは世の中のトレンドとともに変わっていくものです。
 
SBI新生銀行の不動産ファイナンス部と不動産リスク管理部不動産調査室(以下「調査室」)の仕事は、社会の変化にアンテナを張り、「今」の不動産の価値を適切に評価して、お客さまの資金ニーズに応えること。とりわけ、返済原資が融資対象の不動産及びその不動産から得られるキャッシュフローに限られるノンリコース形態のファイナンスでは、不動産の評価に際しては時代に合った「目利き力」が問われます。
 
今回は、ESGの視点を取り入れた投資判断が世界的な潮流となる中で、注目を集める「環境不動産」にスポットをあて、トレンドを踏まえた目利きをするための工夫を深掘りしました。

語るひと
SBI新生銀行 不動産ファイナンス部
統轄次長 黒澤貴将
営業推進役 田島弘将
SBI新生銀行 不動産リスク管理部不動産調査室
業務推進役 橋本亘
※部署・役職はインタビュー当時

不動産の価値は、物件そのものが持つ要素に、社会的な潮流が加味される

――まずは、それぞれの部署の役割と、皆さんの仕事内容について教えてください。
 
田島:黒澤さんと私は、不動産の評価及び物件のデューデリジェンス業務(以下、「DD」)を主に担当しています。不動産の評価とは「不動産の経済価値を判定し、その結果を価額に表示すること」で、評価の対象となるアセットは多岐に渡ります。具体的なアセットタイプとしては、オフィス、レジデンス、商業施設、物流施設、ホテルなどで、各アセットについてマーケット調査・分析を行い、物件の経済的な価値を導き出すのが主な業務です。最近では賃貸戸建住宅の評価もやりましたね。

不動産の潮流を読むには、日常的な情報収集が欠かせないと話す田島さん

黒澤:時代の流れによってマーケットで注目されるアセットタイプも変化していきますし、さまざまなアセットタイプに関わることができるのが面白いところですね。
案件のソーシングは不動産ファイナンス部のオリジネーションチームが担当しており、顧客からファイナンスの検討依頼を受けた案件につき、まずはフロント部店である不動産ファイナンス部で評価を行い、その評価に基づきファイナンスについての初期的な経済条件などをオリジネーションチームで顧客に提案します。その後、調査室で行内評価額の確定に向けて評価を行うとともに、不動産リスク管理部とは経済条件など案件の取り組み可否についての協議を進めていくという流れです。
 
橋本:私が所属する調査室は、不動産ファイナンス部が査定した不動産の審査を担当しています。不動産の価値を多角的に、正しく判定するために視点を変えて評価することが重要です。黒澤さん、田島さんとはまた別の視点で価値を分析し、最終的な融資判断、および融資額の決定につなげています。

――不動産の価値は、どのように判断するのですか?
 
黒澤:評価の対象は個別の物件になりますが、マクロ的な視点も重要です。売買・賃貸マーケットについて、足元だけでなく、過去、将来の見通しも含めて分析を行い、評価に落とし込んでいきます。そして、私たちは評価だけでなく、物件のDDも担当しています。ファイナンスの対象となる物件が各種法令上(遵法性)問題はないか、土地の使用履歴から土壌汚染が疑われる土地でないか、アスベストやPCBなどの有害物質の使用はないかといった、不動産の価値を把握するにあたって、ハード面の調査を行うのも重要な業務のひとつです。

黒澤さんは、不動産の取得から売却までの一連の流れを見られることに、
銀行での不動産評価の醍醐味とおもしろさを感じているそう

橋本:投融資の対象となるアセットタイプや不動産の価値は、時代の潮流によっても変わります。例えば、20年くらい前まで、物流施設が主要な投融資対象になるとは誰も考えていませんでした。ところが今は、人々の生活にとってオンラインショッピングが当たり前になり、物流施設の需要が一気に高まったことから、そういった物流施設に投資するための資金ニーズが加速しています。ですから、人の価値観やライフスタイルの変化といった不動産以外のことにも、幅広くアンテナを張って情報収集することは欠かせないですね。

環境不動産への関心の高まりを受け、チームメンバーの多くがCASBEE不動産評価員の資格を取得

――「環境不動産」とは、どのような不動産を指すのでしょう。
 
橋本:何をもって「環境不動産」というのか、はっきりした定義はありません。広義には、省エネ性や快適性、耐久性などを兼ね備えたサステナブルな建物、テナントの働きやすさに配慮した設備がある建物など、と言えますが、それだとかなり曖昧かと思います。
 
よりわかりやすく対象を区別し、実際のビジネスに落とし込んでいく上では、環境認証制度による「認証を取得している物件」という理解で良いのではないでしょうか。
 
近年、欧米では、環境配慮型の物件の価値を割り増して評価する「グリーン プレミアム」という考え方から、逆に、環境に配慮していない物件の価値を割り引いて評価する「ブラウン ディスカウント」という考え方に移行しているように思います。つまり「環境不動産」こそがスタンダードになりつつあるということですね。日本においてもこういった動きになるのかは現時点では定かではありませんが、環境に配慮した「環境不動産」への関心が高まっていることは実感しています。

環境認証のある不動産の価値を、社内で評価するための準備が必要と話す橋本さん

田島:「認証」とは、建物の環境性能やエネルギー性能などを評価し、格付を決める仕組みのことです。国内の認証としては建築環境・省エネルギー機構が創設した「CASBEE(建築環境総合性能評価システム)」、や日本政策投資銀行が創設した「DBJ Green Building認証」、一般社団法人住宅性能評価・表示協会が創設した「BELS」などがあります。また、国際的な認証制度としては米国グリーンビルディング評議会が創設した「LEED」という認証があります。
 
環境不動産に対する投資家の注目度の高まりを受けて、私たち自身が知識やノウハウを得るために、CASBEEの資格のひとつである「CASBEE不動産評価員」の資格をチーム全員が取得しました。CASBEE不動産評価は、不動産の環境性能を分かりやすく示し、活用できるツールとして開発されたものです。
 
私たちのチームは、全員が不動産鑑定士の資格を持っていますが、そこにCASBEEの視点が加わることで、環境面からも不動産を捉えることができるようになりました。
 
黒澤:建築物の環境性能の詳細や評価結果を知りたい場合、第三者機関に公式な評価・認証を依頼するのが通常の流れですが、取得した「CASBEE不動産評価員」の資格を活かすために、独自にCASBEE不動産評価(以下、「自主評価」)を行う取り組みを行ってきました。自主評価にあたっては外部専門家に何度もヒアリングをしたり、チーム内で勉強会を開いたりと試行錯誤を重ねてここまできたという感じです。今後も自主評価の精度を高めていくと同時に、自主評価を有効に利用する手立てがないかを探っていきたいと考えています。
 
田島:自主評価をもとに「新生グリーンローン」を実行した案件は現時点ではありません。昨年、不動産ファイナンス部が実行した「新生グリーンローン」については、お客さまが既に取得されていた、DBJ Green Building認証を活用しました。当行が策定している「新生グリーンファイナンス・フレームワーク」の適格クライテリアでは、自主評価の扱いについて明確な規定はされていませんでした。そこで私たちは、サステナブルインパクト推進部と協議を行い、自主評価を行った環境不動産を裏付けとして新生グリーンローンを出すための道筋を作ったのです。その自主評価をどのように融資につなげていけるかを考えるという点は、SBI新生銀行ならではの路線ですね。
 
橋本:ESG投資の機運は、不動産領域でも確実に高まっています。近い将来、環境認証が明確に経済価値に反映される日がきっと来ると思います。まだ手探りの部分が多いですが、今から環境不動産に対する情報や知見を蓄え、社内体制を整えておくことが大切だと考えています。

――今後、CASBEE不動産の自主評価をどのように展開させていきたいですか?

SBI新生銀行だからこそできることも多いと、環境不動産の見通しを語る3人

黒澤:やはり自主評価を活用した新生グリーンローンを実行することですね。自主評価の対象がまだオフィス、物流施設だけなので、評価できるアセットタイプを広げていきたいですね。
 
田島:そうですね。環境性能に優れた物件の価値について、どのように不動産の評価に織り込んでいくか、今後検討するためにも、自主評価の精度と幅を広げていくことが必要であると考えています。
 
橋本:不動産物件の価値査定に環境要素をどのように組み込むかについては、自主評価の拡大と併せて検討を進めていく必要があります。SBI新生銀行としては、環境不動産の価値査定方法に対するブレイクスルーに備えて、一歩先を見越した取り組みを進めていきたいです。

【編集後記】
「銀行内で不動産を評価することの魅力は、不動産の取得から売却までのすべての過程を見とどけることができること。環境不動産のような新しい潮流と並走できるのも魅力」といきいきとした笑顔で話してくれた3人。環境不動産への期待も肌で感じているそう。SBI新生銀行ならではのアプローチで、環境不動産との関わりはさらに深まっていくのではないでしょうか。
 
執筆/藤巻史 撮影/橋本千尋


こちらは、SBI新生銀行グループのSBI新生銀行に関する記事です。

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